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バトントワーリングを広く世の中へ 佐々木敏道のブログ

千手観音『My夢Dream』への率直な感想

   

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中国障害者芸術団の『千手観音』を大阪フェスティバルホールで観ました。
以前にテレビで見たことがあり、生で観てみたいと思っていたところにたまたま知人からチケットプレゼント♪
『中国障害者芸術団は、1987年に設立。中国全土約6千万人の障害者の中から選ばれたアーティストたち、総勢約60名で構成されている。中国の誇る文化と芸術性の高い公演は、中国国内だけにとどまらず、友愛と調和を伝える『美と親善の使者』として世界各地40カ国以上の地を訪れ、夢と感動、そして希望を与え続けている。』  (HPより)
とあるように友愛と調和はテーマであって、障害者支援目的の公演ではないと私は捉えています。
1パフォーマーとして同じ土俵に立っているという前提で今回のレビューを書きます。
私が見た回は千秋楽なので問題ないかなと思いましたが、3月にアンコール公演が決定しているそうです。
以降はネタばれを含みますので、その点ご了承ください。


演技構成は様々な障害を持った方がその方の個性に合わせた演目を次々と表現していくオムニバス形式。
舞台の両手にスクリーンが設置してあり、中国語の歌詞の訳や演目の説明、歌や演奏時のバックグラウンドとしてテレビ出演の模様やPVのような映像を流していました。
『千手観音』で幕は開きました。
毎日十数時間に渡り練習を重ねているというその演技はすばらしく、深い思想のようなものを感じる瞬間もありました。演技終盤で三面六臂の観音像を表現するシーンではぞわっときました。
まだご覧になっていない方は是非どうぞ6分弱の作品です。

視覚障害を持つ方の歌唱、ピアノ演奏、バレエ劇、両腕を失っている方のダンス+聴覚障害を持つ方の舞踏、聴覚障害を持つ方の京劇+視覚障害を持つ方の演奏、合奏と演目は多岐に渡る2時間弱の公演。
他には各演目の間にナレーションと同時に手話を行う女性が出演されていましたが、彼女のきらびやかなドレスが出てくるごとに毎回(5,6回以上?)変わるのが興味深かったです。
上の演目で面白いなと思ったのは、京劇です。
視覚障害の方の演奏は、聴覚障害の方の動きのきっかけにもなっていました。劇の内容は、真っ暗闇の中で出会った若者二人の喧嘩を表現したもの。お互いの障害という個性を補いあうアイデアは非常に意義深いものだと思います。
残念だったのは随所にダンスの演目があるのですが、洗練されていなかったことです。演奏についても同様です。
もし私が演出家であったなら2つのアプローチを考えます。
1.同じものを追求(例えばバレエならプロのバレリーナと同等)していってそれを最大限に演出する。
2.障害を持っていなければ出来ないものを追求。
『障害を持っている割にすごい!』と感じさせてしまえばそれが障害者に対する差別に値すると私は思っています。プロの芸術団が観劇料を取ってするには質の低いものでした。
それともう一つ。
テレビの映像では確認できませんでしたが、聴覚障害の方の演目には(意図的な演出だと思いますが)常に二人の指揮者が舞台の見える位置に立っています。指揮者はきっかけを大きく越えたすべての動きの拍子を指示していました。にも関わらず数々の演目で動きがずれてしまうことが多かったのです。
指導で感じることは、音を聞きながら同時にそれ(聴覚情報)を自分の身体に伝達させていくことの難しさです。
『千手観音』の出演者は指揮者を見ながら(視覚情報を)自らの身体に伝達しています。完璧に動きを揃えることは可能であるはず。指揮者がきっかけを部分部分与えるにとどめて、それでもなおこのレベルであわせることができるんだ!という見せ方もあるかもしれません。
批判的なコメントが多くなってしまいましたが、それはまだまだ可能性があるからです。私は障害を持っていないために理解なんてできるわけがないと言われればそれまでですが、私個人は障害という個性を最大限に生かそうとしていたり、それを克服してこうという姿勢に素直に敬意を表しています。
私に対しても何かを感じた人が率直に意見を言えるような、そんな演技者でありたいです。

 - 舞台・映画・書籍

        

Comment

  1. ペガサス より:

    はじめてお邪魔します。
    中国・千手観音の公演を観に行きたいとは思ったものの、少々高いチケットに手を出すべきか迷っている時にこのレビューに出会いました。
    実は、少しインターネットで検索をかけてみたのですが、出てきたものは殆ど手放しで褒めるものばかりで、もちろんそれはそれで構わないのですが、キーワードに必ず“障害”が出てきて、このキーワードを外しても同じ感想なりレビューなりを書くのだろうかという思いを払えませんでした(批判的な記事(スレッド)も1つみつけたのですがあまりに内容のない読むに耐えないものでした)。
    ここを見つけて、ようやく質の高いレビューに出会えました。
    やはり(と書き出すのは大変生意気ですが)、同じ土俵の上で表現をしている、それも一流の方が書くレビューは一味も二味も違うと唸りました。
    レビューを読んで僕が一番引かれたところを引用して最後にします。
    >>2.障害を持っていなければ出来ないものを追求。
    せっかく強い個性があるのなら、生かさない手はない。
    これは、『障害を持っている割にすごいねー』の対極にある考えですね。
    これはとても細く難しい道だと思いますが、それだけにもしこれが出来れば観客の感動は全く別次元になるように思います。
    まだなのかも知れませんが、その“可能性”を感じることの出来る舞台なのかなとも感じました。

  2. tosswi より:

    私のレビューが何らかの参考になったのであれば、ここに書いてきた意味があったと思います。
    批判的なものを載せるのは多少の覚悟がいりますが、自分の立場を表明することも大事なことだと思って書いています。
    こうして私の考えに共感してくださる方に出会えるのも素敵ですし、反対意見の方とお話するのも刺激的ですよね[絵文字:v-39]
    これからも舞台に限らずたくさんのものに触れていきたいです☆

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