Let it BEAT?

バトントワーリングを広く世の中へ 佐々木敏道のブログ

バトンのスナップと回転と滞空時間の関係

   

『上で瞬間ですが止まるのは、手首のスナップの正しい利かせ方で起きる現象です。手首の弱い人は普通の高回転です。バトンは上で止まるはずがありません。』
『ただ普通に手首を使うのと、スナップの利かせ方では違います。 やって見て下さい。ポイントは「力の貯め」にあると思います。 』
(A.T.さんのコメントより)


以前にバトンをスナップさせることについてご指摘がありましたのでバトンの滞空時間の結果とあわせて考えました。
20数年バトンをしているにもかかわらずトスについて何も知らなかったことに気付かされました。
指導者の方はもちろん、選手の皆さんも読んで理解することをお勧めいたします。

 

★スナップについて★

スナップとはいったい何を指すものなのか。

スナップ【snap】
野球の投球や打撃、ゴルフの打球の際、手首の力を用いること。
「―をきかせる」    (yahoo辞書より)

「スナップ」という言葉でイメージするのは手首の「背屈」と「掌屈」の連続動作です。ボールを打つ瞬間に手首を素早く「背屈-掌屈」して打つことが「スナップを利かせる」打ち方のイメージです。
(中略)
もともと“snap”は「パチンと音を出す」ことを意味しており、転じて「パチン」「ピシャリ」とした動きを言い表しています。
「スナップを利かす」という時の「利かす」という言い回しは日本語の独特の表現です。
「スナップ」とボールヒットについてより)

スナップとは要するに手首を使うことで、おおまかには3種類。
1.一つは上記のバレーボールのような動かし方。
2.もう一つは手のひらを前に左右に振る(バイバイと相手に手を振る)ような動かし方。
3.最後にドアノブをひねるような動かし方。
これらすべてがスナップです。

バトンでは主に3番目の動作をします。
①『手首を軸に拳が時計回り回転』によってバトンを回転させ
(画像 グリップ→ロールオーバーサム)
②『手首を軸に拳が反時計回り回転』によってバトンを手から素早く離す
(画像 ロールオーバーサム→トス)
スナップ

いわゆる初心者と上級者の違いは特に②で現れます。初心者は手首を返す力が弱かったり速度が遅いためにバトンに効率よく力が伝わらないため腕を持ち上げてトスします。上級者は主に手首の力を使ってトスするためにリリースの位置が低くなります。

①②ともにスナップですがご指摘あった内容は②を指していると考えました。以降スナップとは②を指すことにします。

スナップがある場合とない場合では何が異なるのか。答えは初速度です。スナップを使うと初速が速くなります。さあ、高校物理で習った無駄知識をいまこそ使おう!

 


v = vo -gt
y = vot-1/2gt2(2乗)

(v:速度 vo:初速度 g:重力加速度 t:時間 y:位置)


 

日本語にすると…
ものを上に投げるとき、速さと高さは初速と時間で決まる。
初速度が遅い場合、同じ高さにするにはより時間がかかる。
→スナップを使わなければ長い時間滞空する、ということです。

実験では①と②を区別していませんでした。実際には回転のあるなしは①で決定され、②で滞空時間が決まると考えられます。回転をかけまいとしたときに手首を使わないように意識した結果が②に影響した可能性が高いです。反対に高回転のときにはスナップをより強く使っています。

 

<滞空時間まとめ>

回転があるかないか、ではなくその後の手首の使い方によって滞空時間が変化する。

 

<スナップで止まる考察>

『上で瞬間止まる』については私は疑問視しています。
止まるの意味は速度が0の状態を維持する、ですが地球上では縦(バーティカル)の回転はバトンの上昇・落下の速度にはほとんど影響しないと考えています。
要するに目の錯覚で『止まって見える』が正解だと思いますが、その理由は初速にあります。

初速の速いものが頂点で速度0になるのと遅いものがそうなるのはどうしても前者が体感的に止まって見えると感じます。
加えて目で見える回転をしている(高回転だと円に見える)ので低回転のもの(棒状のもの)より頂点で止まったように見えます。

ボールとの大きな違いは回転により形を変える(ように見える)ことです。
データ上でもスナップをより使っていない方が滞空時間が長かったので上記考察となりました。もしスナップで止まるのであれば滞空時間が長くなければ説明がつきません。

 

<結論>

今回のポイントは回転させる動きとバトンをリリースする動きの2つを区別したことです。
時計回り回転と反時計回り回転の力とスピードには正の相関関係があると考えられるため高回転だけど初速が遅い、や低回転だけど初速が速いということは起こりにくいでしょう。
そのために前回の実験データから高回転だと滞空時間が短いという考えになりました。
現段階では×高回転だと滞空しない→○スナップを効かせると滞空しない、が結論です。

(補足)
2003年のスペイン大会のときに測定の実験がありました。
身体測定やスポーツテストなどさまざまな内容をしましたが、そのなかにトスの滞空時間測定がありました。被験者3人(稲垣正司さん、河津修一くん、私)のなかでもっとも滞空時間が短かったのは意外にも稲垣さんでした。
あれほど手首が強くて綺麗な高回転をしているので当時すごく不思議に思いましたが、いまならその理由の説明ができるかもしれません。

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なぜエンドトスの方が高くあがるのか?
バトンの投げ方と落下地点の関係
バトンのキャッチ時にかかる衝撃について


 - 研究・調査

        

Comment

  1. Rin より:

    ありがとう!とても分かりやすい分析ですね。いつもとしの活躍を影ながら祈っています。これからも興味深い情報をシェアしてください!

  2. 初速度については少し聞いた事があるが、改めて納得…。しかし、本格的な選手権大会では高回転を要求(無いよりはあった方がいい)されているので非常に考えさせられるねぇ。

  3. tosswi より:

    >Rinさん
    自分で書いててわかりにくいなー[絵文字:i-230]と思っていましたので、良かったです。
    今後も忌憚のない意見をお願いします♪
    >Mr.たけしさん
    初速についてどこで聞いたのですか!?
    その話詳しく聞きたいです。
    空気抵抗(流体力学)をきちんと考えないと論文としては成立しないんですよね[絵文字:i-246]
    またお話しましょう♪

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