Let it BEAT?

バトントワーリングを広く世の中へ 佐々木敏道のブログ

ハラスメントと厳しい指導の違いを知らないだなんてナンセンスだ。

   

仕事としてバトン指導に携わってから、10年。
かつての私と今の私の指導は明らかに違うと感じます。
それは、私自身の変化だけでなく、社会の変化、変容もあると思います。

「バトンを極めようと思うなら、多少のハラスメントには耐えなければならない。」
「体罰は良くはないけど、明らかに選手が悪かったら必要なときもあると思う。」
「愛情のない暴言はだめだと思うけど。」

ここ数か月で聞いた言葉たちです。
残念ながら指導者として勉強不足だと言わざるをえません。

ハラスメントに耐える必要はありません。人格権の侵害です。
体罰はどんな事情があってもだめです。犯罪行為です。
愛があれば、生徒を侮辱してもいいのですか…?

決まってこれらの話の先に待っているのは、「それじゃあ、指導にならない。」

 

なぜハラスメント指導が行われているのか

ハラスメント=指導となってしまっている背景には、その指導者が受けてきた指導そのものにあります。かつて体罰や暴言が、(暗黙のうちに)許容されている時代がありました。
【レッスン中に水を飲んではならない】などは有名な昔話ですが、長年にわたり強力な上下関係の中で指導は行われてきました。指導法の原点は、自分自身が習ってきた指導です。

体罰や暴言に耐えられず、乗り越えることができなかった人はその場を去ることになります。
残る人は、何らかの方法で克服できた人。もちろん反面教師にした人もいるでしょう。しかし過去の辛い経験が今の私を作っているんだ!と固く信じている人の方が多いと感じます。
人は過去の経験を良くも悪くも肯定したがる生き物だと、経験的に思います。

誤解の無いように補足すると、自分が逆境を乗り越えて何かを得たと感じているのならそれが間違っていると私は思いません。あの時代を耐え抜くためには、自己暗示が必要だったかもしれないし、それが自分をコントロールする力になっているかもしれません。

でもね。それを他人にするのは別問題です。私もそんなに問題視されていない時代に受けてきました。それを乗り越えてきたから今の自分があるとは思いますし、「私にとっては」必要だったとも思っています。

かつては私の指導でも「あほかーっ!」等何度も言ってきました。(未だにうっかり言っているかも…)
しかし今となっては、乗り越えるかどうかは自分の問題。私が、無茶なハードルを設定して「どやっ」だなんてありえないと思っています。…そうありたいです。

 

ケーススタディ

指導とハラスメントは異なります。
指導する上で、『客観的に見て必要がある』のが指導で『ない』のがハラスメントです。
客観的にという部分が大事で、これが社会の変化と関わってくる部分です。

以下は職場におけるパワーハラスメントの実態調査(2007)の結果です。
どんな言動をパワハラとして認識するかの質問についての回答を分析したところ5つのグループに分けられました。
(参考:日経文庫『パワーハラスメント』岡田康子・稲尾和泉著)

1.能力の否定
「あほ、ばか、出来が悪い」などと馬鹿にされたり、ミスをみんなの前で大声で叱られたり、嫌味を言われたりすること。
2.無視
自分だけが情報を与えられなかったり、普通では達成できないほどの仕事を与えられること。
3.脅迫
「辞めろ」「言うことを聞かないなら…」などと暗に脅したり、机や書類を投げたりされること。
4.個の侵害
学歴や容姿などを笑いものにしたり、差別的な言い方や扱いをされる、私生活に干渉されたりすること。
5.権利の否定
少しの休憩時間も取れない、休暇や早退などを許可してくれない、権限がないのに責任を問われること。

これらは職場での調査であってバトン(=習い事)とは関係がない、と言えるでしょうか。
社会人の権利は守られる方向に向かっているけど子どもはそうではない、のでしょうか。

初めて見たとき私は「どきっ」としました。多かれ少なかれすべての項目をバトンの現場で見てきたからです。私が受ける場合もありますが、それよりも見過ごしてきた方が多いかもしれません。

指導と称して、指導には必要のない言動を行っていないだろうか。

「あの子は、怒られないと全く練習しないのよ。」
→彼女のモチベーションの源は何だろう。

「この課題ができなかったら、次の大会には出さないからね!」
→できるための適切な指導を考えなくては。

練習好きで、頭の回転が速くて、素直で…な選手は指導者に関係なく伸びていきます。
練習嫌いで、理解力が低くて、反抗的で…な選手を育てることができる指導者こそがプロであり、それができるのなら、前者の選手は際限なく伸ばすことができます。

Gellinger / Pixabay

誰かが言っていた。
暴力でしか言うことを聞かせられない人は、自分は言葉を使えない猿だと言っているのと同じだ、と。

相手を罵ったり、バカにしたりする指導をしてしまっている人はこのツイートを読んでほしい。

私は選手に敬意をもって接したい。
今はたまたまバトンを教えるという役割なので、適切な指示を出します。
納得ができないのであれば、理由を尋ねたらいい。
理由を聞いてどうしても嫌なら拒否をしよう。
私があなたを拒否できることと同様にあなたにも私を拒否する権利があるのだから。

 - バトントワーリング

        

Comment

  1. 匿名 より:

    これ、娘と親の私たち(複数親子)経験済
    で、辞めました。

  2. tosswi より:

    スポーツの現場からハラスメントがなくなることを切に願っております。

  3. 匿名 より:

    どこかの野球の学校が こういった体罰 ハラスメントを一からなくす為なくなったのを思い出した
    バトンも根本から見直す時期なんでしょうか

  4. MARIKO より:

    辞めればよい話では・・・指導者うんぬん・・
    それは自分で選べばよい・・・
    嘘を平気でつくあなたには言う指導者としてうんちくを言う権利はないはず!

  5. tosswi より:

    >MARIKOさん

    私は嘘をつくことが嫌いで、特に気を付けているつもりですが
    何についてのことか教えていただけますでしょうか…?

  6. 匿名 より:

    自分にそぐあない生徒は、指導してくれない。
    しかもそれをあたかも生徒が悪いかのように言う。
    やる気のない子は教えない?
    やる気を出させるのが指導者では?
    上を目指してない人は辞めてもかまいません。とか趣味程度にバトンをしたい人は選手権コースを抜けてもかまいません。とか。じゃ、実際にそれを口にしたら、立ち直れないくらいの事を言われる。
    指導者は、自分の都合や機嫌で平気で嘘をつく。すべて生徒のせいにして。親のせいにして。
    お金かけてバカみたい。

    • tosswi より:

      やる気を出させる指導もあれば、やる気のある子にフォーカスして行う指導もあり、指導方針次第だと思います。

      スクールを経営しているわけでも、選手権コースを運営しているわけでもないのでとやかく言える立場ではありませんが、問題は選択できない状況にあるのではないかと私は考えています。

  7. 匿名 より:

    たくさんの方が、指導者のパワハラでバトンを辞めていきました。
    結果さえ出せばすべてが許される・・・
    真実を語れば、生徒が悪いようにいいふらす・・・
    マイナースポーツのバトンが発展する為に、バトン界が根本的に変わって欲しいです。
    佐々木さんのような指導者が増えてほしいです。

  8. tosswi より:

    バトンが子どもたちにとって適切なスポーツとして発展していって欲しい、と願っております。

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